東京 某所 ○ルームーン チャイエス 後編

「若イ子イルヨ」と言われたが会ったことはなく、
その代わりに、歌舞伎版ヤマンバギャルのような毛質とメイクの自来也似おばちゃん(5,60代)がいるのを見たことはあった。

大蛇丸のおばちゃんは申し訳そうにしながら何度も
「マッテテ、ワカクテカワイイダカラ!シンジテ」
と言った。


うそだ!うそだ!うそだ!うそだ!うそだ!うそだ!

知っている!

若いくて可愛い子なんてこない!

自来也が来る!



しかし、待っているとそこに現れたのは綱手のように可愛い顔で綺麗な長い髪の20代の女性だった。


○ルームーン後編をお送りします。




私は綱手に「こんにちは」と言った。

ジーマサでも挨拶は必ず忘れない。




妖艶な美貌と程よい肉付きのふくよかな体に胸が高鳴っていた。






天井に3,40cm届いていない薄いパーテーションで区切られた隣の施術スペースでは友達が大蛇丸からマッサージを受けている。


友達の優しくて軽快な関西弁は非常に良い武器だと思っているが、中国人にもその良さは伝わっているのだろうか。



パーテーション越しに丸聞こえの会話を聴きながら、ナイナイのお見合い大作戦を観ているときのような感覚で微笑ましかった。




私はというと、綱手に名前・年齢・出身地など一通りのことを聞いて、そのあとは「めっちゃかわいいね」「マッサージ上手だね」「日本語上手だね」などを言う時間に入っていた。


このお店は、シンプルなうつ伏せの状態でのキワのマッサージが非常に魅力的だ。

「すごい気持ちいいです。」

「キモチデスカ?ヨカッタ」






それから「アオムケクダサイ」の呪文が唱えられた。



仰向けになると、程なくして私は上体を起こし始める。


バイハザード1リメイク版のオープニングで、手術台から急に起き上がり出すゾンビのような感じだ。





からだを起こした私に、綱手が少し驚きながら、
「チョットwwダメダメww」と小さな声で言う。



私も「いや大丈夫!いいからいいから。」と小さな声で返して、綱手を触ろうとする。




綱手が何度も払いのけた手が執拗に綱手の太ももや胸に戻ってくる。


囁き声での攻防は、静かに、でも熾烈で、お互い面白くなってきて、声を殺しながら二人で爆笑していた。





綱手は私の手を振り払わなくなった。


「チューしよ」

「ソレハダメ」



「1回だけ!1秒1秒1秒!!」


あまりのしつこさに綱手はそれを受け入れた。


味をしめた私は「もう1回!」と何度もリクエストした。



迷惑な客である。





「モウダメ、オワリ!」


口の前に手を出して制止してきた。





この手にキスしてろ、という感じだ。





手の甲へのキスから始まり、指を咥えながら出した。



綱手は「ヘンタイ」と言っていた。



すごく気持ち良かったが、気持ちの悪い客である。





綱手は、透明な器に入った美味しくて冷たい烏龍茶の接茶を出してくれたあと、自室のようなスペースに戻ってしまった。




着替えて友達と一緒に店を出るときもお見送りに来なかった。






自室スペースの前まで行って、「ありがとね」と言った。

綱手は「はーい」といった。




私は「これあげる」とカーテンを開け、「イラナイ」と何度も断る綱手にレモン味のすっぱいチュウを1粒手渡した。



さすがに嫌われたかなと思ったが、私はこういうことに慣れていた。



半分本気半分冗談の芝居掛かった感じだが、帰るときに、遠くの壁に寄りかかって両手を組みながら、アゴのジェスチャーで見送られたこともあった。


応接スペースのソファに敷いてあった座布団で優しく叩かれたこともある。これは7割くらい冗談だったと思う。私は別の座布団を持って叩き返して、枕投げを楽しんだ。




その後○ルームーンには何度も訪れたが、いつも綱手はほほえみながら優しく対応してくれた。



きっとすっぱいチュウを渡したのが良かったのだろう。





仕事帰りにスーツのまま、電話もせずに、フラッと立ち寄り、「○ヤちゃんいる?」と聞いて、自来也や大蛇丸しか居なかったときは、そのまま帰宅した。






久しぶりに行ったとき、綱手は「イソガシカッタ?」とか「サビシカッタ」とか言ってくれた。






またある綱手のワンオペの日に接客してもらっているとき、施術中に何度も予約の電話が鳴った日があった。


ワンオペなので綱手が電話に出るしか仕方がなかったので、私はその度に「いいよ、全然大丈夫だよ」と言っていたが、綱手は「ホントニゴメンネ」と申し訳なさそうに謝ってくれていた。

施術が終わると、接茶だけではなく、冷蔵庫から小さいパックの野菜ジュースを出して「コレノンデ」と渡してくれた。



その日は私が特に疲れていたのを感じてくれていたのか、膝枕をしながら頭を撫でてくれた。








心から通じ合えている気がして、いつも満たされていた。






ただ、

引越すことを本当は伝えたかったのだが、彼女ができてからジーマサというものには本当に行かなくなったというのもあって、伝えられないままその街を出て、それから今日までその店には行けていない。





いつか心からの感謝を伝えられる日が来るのだろうか。



これにて、ひとまずは○ルームーンの話は完結としたいと思います。

コメント

ナイナイのお見合い大作戦好きやわ

No title

アゴで帰れってされてるのに嬉しそうなQを見た時はさすがに性癖の底なしさにビビったのを覚えてる。
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